物性研究所短期研究会

「原子層上の活性サイトで発現する局所機能物性」

日時: 2016年12月20日(火)13:00 〜 12月21日(水)15:30
場所: 東京大学柏キャンパス (〒277-8581千葉県柏市柏の葉5-1-5)
     物性研究所 本館6階 大講義室(A632)・ラウンジ
主催: 東京大学物性研究所
共催: 科研費新学術領域「3D活性サイト科学」「原子層科学」
世話人:大門寛(奈良先端大)、齋藤理一郎(東北大)、木下豊彦(JASRI)、長田俊人(物性研)


※短期研究会は無事終了しました(参加登録者数:76名)。有難うございました。

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●研究会アルバム




●口頭発表アブストラクト

12月20日(火)

13:00〜13:05 副所長挨拶  小森文夫(物性研)

Session 0: 3D活性サイト科学と原子層科学  座長:木下豊彦(JASRI)

13:05〜13:25 大門寛(奈良先端大): 3D活性サイト科学の紹介と原子層科学との接点
13:25〜13:45 齋藤理一郎(東北大): 原子層科学の紹介と3D活性サイト科学との接点

Session 1: 3D活性サイトの先端観測手法  座長:木下豊彦(JASRI)

13:45〜14:15 松井文彦(奈良先端大): 光電子ホログラフィーの原子層科学への応用
14:15〜14:40 林好一(名工大): 蛍光X線ホログラフィーの最近の応用と原子層観測への可能性
14:40〜15:05 若林裕助(阪大): CTR散乱法による非破壊・深さ分解表面構造解析
15:05〜15:30 郷原一寿(北大): グラフェン上への単原子分散と電顕による吸着サイトの原子分解能イメージング
15:30〜15:50 室隆桂之(JASRI): マイクロビーム光電子分光法の開発

15:50〜16:05 休憩

Session 2: 原子層の設計・合成・評価  座長:長田俊人(物性研)

16:05〜16:25 楠美智子(名大): 均質グラフェン・新規原子層合成と提供活動
16:25〜16:45 上野啓司(埼玉大): 層状カルコゲナイドの単結晶合成とデバイス応用
16:45〜17:05 斉木幸一朗(東大): グラフェン化学気相成長核形成サイトのリアルタイム観察
17:05〜17:25 劉崢(産総研): ステップエッジからのグラフェン面内成長その場観察
17:25〜17:45 中村潤児(筑波大): 窒素ドープカーボン燃料電池触媒の活性サイト
17:45〜18:05 福村知昭(東北大): 異常原子価Bi正方格子を含む層状酸化物の超伝導
18:05〜18:25 岡田晋(筑波大): 原子層ナノ構造物質複合系の電子状態計算

18:30〜20:30 ポスターセッション&懇親会(物性研本館6階ラウンジ)

12月21日(水)

Session 3: 活性サイトの観測  座長:松井文彦(奈良先端大)

09:00〜09:25 佐々木裕次(東大): 生体物質の活性サイトのイメージング
09:25〜09:45 工藤一貴(岡山大): 蛍光X線ホログラフィーによる局所構造解析を利用した鉄系超伝導体の物質開発
09:45〜10:05 筒井一生(東工大): デバイス高性能化に向けたSi中ドーパントサイトの研究
10:05〜10:25 永村直佳(NIMS): 3DナノESCAによる低次元系デバイスの局所電子状態
10:25〜10:45 山田容子(奈良先端大): ナノリボンボトムアップ合成

10:45〜11:00 休憩

Session 4: 原子層の局所分光  座長:町田友樹(東大)

11:00〜11:20 重川秀実(筑波大): 光励起STMによるTMDヘテロ界面の局所分光
11:20〜11:40 加藤俊顕(東北大): 単層WS2における原子・分子の局所・選択的付加による局在励起子の観測
11:40〜12:00 矢野隆章(東工大): 原子層物質表面の近接場ナノ分光計測
12:00〜12:20 柳和宏(首都大): 原子層の近接場分光と電界効果

12:20〜12:30 集合写真撮影

12:30〜13:30 昼食

Session 5: 伝導物性と素子応用  座長:上野啓司(埼玉大)

13:30〜13:50 町田友樹(東大): ファンデルワールス接合における量子輸送現象
13:50〜14:10 若林整(東工大): MoS2のデバイス応用
14:10〜14:30 長汐晃輔(東大): 2次元電子デバイスのギャップエンジニアリングと信頼性評価
14:30〜14:50 塚越一仁(NIMS): 自己形成ヘテロ構造原子膜半導体の伝導特性

14:50〜15:20 自由討論  進行:齋藤理一郎(東北大)

15:20〜15:30 まとめ  大門寛(奈良先端大)


●ポスター発表アブストラクト

P1 大山研司(茨城大院理工):
   白色中性子ホログラフィーによるBドープSiの局所構造解明
P2 田中慎一郎(阪大産研):
   Direct probe of the electron-phonon coupling among the empty states in graphite by means of the high-resolution electron energy loss spectroscopy
P3 井岡賢志(岡山大院自然):
   鉄系超伝導体PrドープCaFe2As2の蛍光X線ホログラフィー法による局所構造解析
P4 内富直隆(長岡技術科学大学):
   蛍光X線ホログラフィー顕微鏡を用いたZnSnAs2:Mn薄膜のMn活性サイト局所構造の直接観測
P5 森川良忠(阪大院工):
   First Principles Analysis of Adsorption Geometry and Electronic Properties of Monolayer Naphthalene on Graphene
P6 吉田善紀(奈良先端大):
   光電子回折法によるMoSe2(0001)表面の局所構造解析
P7 中埜彰俊(名大院工):
   Eu2+付活ハロリン酸赤色蛍光体の放射光粉末X線構造解析
P8 田縁俊光(東大物性研):
   薄膜グラファイトにおける磁場誘起電子相転移の層数依存性
P9 大澤尚幸(東大物性研):
   アクセプタをドープしたSrTiO3における光励起電気伝導特性
P10 永井 豪(首都大):
   溶液XAFS手法を用いる分子触媒の活性サイト解析:バナジウム触媒によるエチレン二量化・重合
P11 小幡誠司(東大新領域):
   CH4/H2プラズマを用いた酸化グラフェンからの高結晶性グラフェン合成
P12 佐藤駿介(筑波大):
   フェナセンの電子状態と分子間相互作用
P13 嶽 太輔(奈良先端大):
   光電子回折分光法によるRhドープSrTiO3光触媒の原子構造解析
P14 久保利隆(産総研):
   2次元層状物質の原子層レベルでの薄層化とSPM評価
P15 前田崇博(筑波大):
   カルコゲノフェン系新規有機半導体材料の第一原理計算
P16 細川喜久(東大物性研):
   RhドープSrTiO3薄膜の成膜条件の最適化
P17 深津裕一朗(名工大):
   逆光電子ホログラフィーのPt薄膜試料への応用
P18 田尻寛男(JASRI):
   透過X線回折によるSi(111)-7x7上ビスマス初期成長過程のその場観察
P19 前田恭吾(東工大):
   ヒドロシリル化反応に高活性を示すRh錯体-第三級アミン固定化触媒の構造解析
P20 季子祐太郎(筑波大):
   [n]フェナセンの結晶構造についての第一原理計算
P21 吉信 淳(東大物性研):
   シリセン/ZrB2/Si(111)表面におけるNOの吸着と熱反応過程
P22 松浦賢太朗(東工大):
   硫黄雰囲気硫化プロセスによるスパッタMoS2薄膜のキャリア密度低減
P23 遠藤 彰(東大物性研):
   SiC上エピタクシャルグラフェンの磁気輸送
P24 米田允俊(奈良先端大):
   スパッタ法で作製されたMoS2薄膜のRHEEDと光電子分光による評価
P25 比嘉友大(奈良先端大):
   角度分解光電子分光を用いたサブバンド測定によるイオン打ち込みSi(001)の反転層ポテンシャル勾配及び活性ドーパント濃度の評価
P26 安藤 淳(AIST):
   機能性原子薄膜を用いたセンシングデバイス
P27 藤田善樹(奈良先端大):
   光電子回折法による4H-SiCの表面終端局所構造の面方位依存性
P28 中田彩子(NIMS):
   金ナノ粒子触媒の構造及び電子状態に関する大規模第一原理計算
P29 吉村健太(東大物性研):
   有機ディラック電子系の電荷秩序相における金属状態
P30 廣瀬康平(東大物性研):
   黒リン超薄膜FET素子の高移動度化と量子振動の観測

※アブストラクト集の印刷版は、後日「物性研だより」に掲載されます。




●研究会の趣旨(提案理由)

最近の物性研究の発展は、省エネ、持続的社会の実現を目指すためのイノベーション創出と密接に結びついている。それらに関わる、半導体デバイス、磁性物質、電池電極材料など様々な応用材料の機能の発現にはバルクとしての物性だけでなく、ドーパントや、活性サイトなど、周期構造によらない局所的な物性の理解が重要であることは広く知られている。最近では、グラフェンの発見後、応用も視野にいれた研究が大きく進展している。このような単原子層で発現する機能もまた、局所領域における物性研究によって明らかにされ、応用への道筋がつけられていくものと思う。今後の発展のためには、物質開発、観測手法の発展、理論研究を広く行っていく必要がある。観測手法に関しては、走査型のプローブ顕微鏡が局所構造や物性の測定に有効であることが知られているが、最近発展の著しい、ホログラフィーを応用した手法も実用段階に来ている。現在、本企画のテーマに関連した新学術領域が走っており(原子層科学&3D活性サイト科学)、多くの物性研究者が参加している。両領域に参加している研究者のみならず、関連する研究者が短期研究会の場で一堂に会し、現状と今後の発展を議論することは、新しいサイエンスの芽を生み出す可能性が期待できるものとして意義深い。研究会は、関連の機能性物質開発、デバイス応用、観測手法の発展、理論との競合、などにまたがるものとする。


●お問い合わせ(連絡先)

東京大学物性研究所 長田俊人
Tel:01-7135-1221
osada@issp.u-tokyo.ac.jp