主な実験装置
●ミニプロセスセンター低次元・ナノ構造試料を作製するため、結晶成長・微細加工・素子形成・実装・評価の一通りを行える最低限の装置群を保有しており、これらは半クリーンルームのC127号室、およびC111号室とC127号室内のクリーンブース内に設置されています。基本的に半導体マイクロデバイス作製用の装置群ですが、特に半導体には限定せずグラフェンや有機導体などの物性実験試料に対しても使用しています。またマイクロコイルや微小Hall素子などの物性計測用微小プローブの作製も行っており、将来的にはMEMS技術を応用した機械的微小プローブの作製なども視野に入れています。
@結晶成長・成膜装置 | |
分子線エピタキシー装置 (C111号室クリーンブース内) GaAs系半導体積層構造を作製するための国産の分子線エピタキシー装置です。Ga,As,Al,Si,Inの蒸着源セルが装着されています。超高真空下で低速で原料を多元蒸着することにより、原子層の精度で半導体結晶をエピタキシャル成長することが可能です。GaAs/AlGaAsヘテロ接合(2次元電子系)や超格子構造の作製に使用しています。 |
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スパッタリング装置 (C127号室) 融点が高く蒸着が困難な金属膜や、絶縁体膜を簡便に形成できる装置です。原料(ターゲット)を容易に交換できるような機構が設けられています。 |
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電解法有機導体結晶成長装置 (C127号室) TMTSF系やBEDT-TTF系などの有機導体結晶はドナー分子とアクセプター分子からなる一種のイオン結晶(電荷移動錯体)で、電気分解によりイオン溶液から析出させて作製します。 |
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A微細加工・プロセス装置 | |
電子線描画装置 (C127号室クリーンブース内) 電界放射型SEMを流用した電子線描画装置で、電子線リソグラフィーでナノ構造を作製するために使用しています。常用加速電圧は20kVで、レーザー干渉計によるステージ位置制御機構は装備されていません。SEMとしても使用可能です。 |
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イオンビームエッチング装置 (C127号室クリーンブース内) ガスプラズマのイオンを加速して試料に照射し、スパッタリング効果により物理的に、イオンの反応性により化学的に試料をドライエッチング加工する装置です。Ar、O2,、CF4の3種のガスが使用可能で、電子線リソグラフィーに使用しています。 |
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マスクアライナー装置 (C127号室) フォトリソグラフィー用の簡易マスクアライナーです。マスクは2.5インチ角のものを使用しています。 |
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B微細構造評価装置 | |
走査プローブ顕微鏡 (C127号室クリーンブース内) ナノ構造を観察したり、形状測定するための原子間力顕微鏡(AFM)です。光てこ方式のカンチレバーを使用します。グラファイトの炭素原子像や単原子層ステップが観察可能です。 |
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簡易原子間力顕微鏡 (C127号室) 基板表面のミクロン程度の素子構造を観察したり、エッチングの段差測定や薄膜の膜厚測定に使用しています。また低温強磁場下の磁気トルク測定では、この装置の抵抗検知型カンチレバーを測定プローブとして使用します。 |
極低温・強磁場環境で電気的・磁気的・熱的実験を行うために、本研究室には13Tおよび10T超伝導磁石と40T小型パルス強磁場システムの3つの強磁場実験ステーションがあります。各々に、希釈冷凍機や圧力セル、角度回転機構などを組み合わせ、直流伝導実験、カンチレバー磁気トルク実験、パルス高電場実験、高周波実験、比熱実験などを行っています。
@13T超伝導マグネット+希釈冷凍機システム (C111号室) 13T超伝導マグネットでコールドフィンガー式の希釈冷凍機と組み合わせるためキャンセレーションコイルを取り付けています。ラムダプレートは装備していません。実験温度域に応じて希釈冷凍機インサートの代わりに、温度可変インサートやヘリウム3冷凍機インサートを装着して使用します。その場合プローブには一軸回転機構やクランプ式圧力セルが装着可能です。 |
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A10Tスプリット型超伝導マグネットシステム (C122号室) 10Tスプリット型超伝導磁石で、12T超伝導コイル2個が横置きになっています。窒素冷却型のデュワーなのでヘリウム保持時間が長いのが特長です。2軸回転機構のついたプローブが装着可能で、全磁場方位スキャンやゲート電圧・磁場スキャンのようにパラメータが2次元以上の連続自動実験に使用されています。近日中にヘリウム3冷凍機を導入する予定です。 |
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B40T小型パルス強磁場システム (C122号室) 電源エネルギー20kJの小型パルス強磁場発生装置です。高電圧に充電したコンデンサバンクから多層ソレノイド型のパルスマグネットに放電することによって磁場を発生しますが、放電電流が逆転しないようクローバー回路を設けています。40Tまでの強磁場電気伝導測定を手軽に行うことができます。 ○コンデンサ電源 静電容量=2.5mF 最大充電電圧=4kV (エネルギー=20kJ) スイッチ:イグナイトロン ○小型パルスマグネット 内径=10mm 線材:Cu-10wt%Ag1.0mmφ インダクタンス測定値=667μH 抵抗測定値=668mΩ(@77K) ピーク磁場=43.2T パルス幅=4ms ○金属製ヘリウムデュワー ○計測用シールドボックス |
●ミニマシンショップ
実験装置ではありませんが支援設備として実験室の中に小さな工作エリアを設けています。測定プローブの部品など、簡単な工作ならばその場で手軽に行えます。本格的な工作は共通の工作室を使用して行います。
工作エリア (C122号室内) 金属加工(旋盤・ボール盤)、熱処理(電気炉)、銀ロウ溶接など簡単な機械工作が行えるスペースです。測定プローブ等の自作や、小型パルスマグネットの作製などに使用しています。旋盤はそのために回転数が連続可変となっています。 |