●研究室紹介スライド

トポロジカル物質・2次元物質の量子物性


 ナノ構造の微細加工技術と低温・強磁場・高圧という極限環境を用いて、2次元(原子層)物質やトポロジカル物質で現れる新しい量子物性を探索・解明するとともに、制御・応用することを目指しています。最近は、有機ディラック電子系等のトポロジカル伝導体が示すトポロジカル伝導・熱電現象や、捩れ積層グラフェンの量子伝導などの研究を行っています。

●有機ディラック電子系のトポロジカル物性

 炭素の層状結晶である黒鉛(グラファイト)を劈開して1枚の原子層だけを取り出したものがグラフェンです。グラフェン中の電子は、相対論的量子力学のディラック方程式と同型の方程式に従うため、固体中ディラック電子と呼ばれ、盛んに研究されています。一方、圧力下の層状有機導体α-(BEDT-TTF)2I3も固体中2次元ディラック電子系であることが解明され、3次元性や電子相関などの点でグラフェンとは相補的な研究が可能になります。最近、私達は圧力をパラメータとしてα-(BEDT-TTF)2I3で可能なトポロジカル電子相(チャーン絶縁相、トポロジカル絶縁相、量子ホール強磁性相)やトポロジカル輸送現象(非線形異常ホール効果非線形異常エッチングスハウゼン効果量子化された熱電ホール効果)などの研究を行っています。

●新しい2次元物質の科学

 グラフェンと同様に他の層状物質からも原子層(2次元物質)を作ることができます。私達の研究室では、半金属、半導体、強相関電子系などの色々な原子層の作製を試み新奇な物性の探索を行っています。また2枚の原子層を角度をつけて重ねたツイスト積層系では、モアレ構造という超構造が発生し物性を大きく変化させます。特にツイスト2層グラフェンでは、超伝導や強磁性などが現れ非常に注目されており、私達もモアレ構造での電子局在に関する研究を行っています。