超薄膜グラファイト素子の作製と物性
近年英国Manchester大学Gaim教授のグループと米国Columbia大学Kim教授のグループを中心に、超薄膜グラファイトの研究が急速に進んでいます。FET素子を用いたゲート電圧によるフィリング制御(フェルミ準位の制御)から、単層グラファイト(グラフェン)における異常な量子Hall効果の観測、ARPESによるグラフェンのDiracコーン分散の直接観測、室温における量子ホール効果の観測(室温での巨視的量子現象!)、単一電子トンネル素子の実現など、種々の成果が報告されました。グラフェン上の2次元電子は伝導帯と価電子帯が1点で準位交差するゼロギャップのバンド分散を持ち、その特徴的なトポロジーを反映して後方散乱の消失など興味深い物性を示すことが理論的に知られています。また1次元性のため電極に原理的問題を抱えるカーボンナノチューブに対し、種々の微細加工も可能な薄膜グラファイトは有望なデバイス材料としても期待されています。 上の状況に触発され、本研究室でも超薄膜グラファイトの研究を開始しています。超薄膜グラファイトFETやその微細構造素子を作製して、薄膜化に伴う物性変化や電子物性のフィリング制御に関する研究を行っています。